投稿者を探したいからドメイン所有者を教えて欲しいと弁護士会照会を出すわけだが,代行業者の対応は2通り。
1 遮蔽している契約者の情報を回答してくれる業者
2 秘密だから教えないと回答する業者
困ってしまうのは,2の対応。
代行業者が管理者情報を持っているのは確実なのに,業者が出さないために先へ進めない。
それは,名誉毀損の犯人を蔵匿以外の方法でかくまっていることになるので,犯人隠避ではなかろうか。
だとすれば不法行為だから民事上は損害賠償請求も可能だろう。
機会があれば試してみたいことの1つ。
掲示板やブログの管理者からIPアドレスの開示を受けたら,次にすべきことはアクセスログ保存の仮処分。発信者情報消去禁止の仮処分ともいう。
これをしないと,接続プロバイダ・経由プロバイダのアクセスログが一定期間経過後に削除されてしまう。
あまり具体的な数字は書けないので抽象的に書いておくと,無線系のインフラを持っている会社で3か月,有線系で6か月。
プロバイダによっては,電話一本で保存してくれるところもあると聞いたが,電話して拒絶されたら面倒だし,疎明資料を送れと言われたら,結局,仮処分の疎明資料を送るのと手間的に変わらない。
また,「保存しました」と言われて安心していたら,実は保存されていなかったということになると,弁護過誤にもなりかねない。
そのため,原則としてログ保存の仮処分を申し立てている。
東京地裁保全部のテンプレートによると,主文は「債務者は,別紙発信者情報目録記載の各情報を消去してはならない。」らしい。
審尋期日には,出席するプロバイダ(代理人)がほとんどではあるが,一部に,まったく出てこないプロバイダもある。
出てこないプロバイダと,某無線系プロバイダは,ログ保存の和解ができないため,担保決定(10万)→供託,の手続が必要となる。
通常は,プロバイダに対して「ログを保存せよ」と申し立てるだけで済むが,MVNOなど,そのプロバイダが投稿者の契約情報を持っていないケースもある。
たとえば,投稿者の使った接続プロバイダだと思って申立をしたら,接続プロバイダと掲示板を中継している経由プロバイダだったりもする。
そんなときは,急きょ,申立の趣旨を変更して,ログ保存の仮処分から,(次の)プロバイダ名の開示仮処分に切り替えないといけない。
そのため,最初から「保存すべき情報が投稿者のものでない場合は保存だけでなく開示もせよ」という申立をする場合もある。
ドコモ等,一部のプロバイダに対してログ保存の仮処分申立をする場合に,ハードルとなるのが「投稿用URL」。
これは,投稿内容を閲覧するための閲覧用URLとは別のアドレスであり,画面を見ているだけでは判明しない場合もある。
投稿用URLは,HTMLソースを表示すれば分かることがある。formタグのactionパラメータのところにURLが書いてあれば,それが投稿用URLである可能性が高い。
ただし,知恵袋は端末ごとにactionパラメータの内容が違うようなので,要注意である。
ドロップシッピング詐欺に関する東京地裁平成22年11月11日判決
サイト社の副業システムが特商法の業務提供誘引販売取引に該当すると認定され,クーリングオフが認められました。
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