1 削除可能性
犯罪報道は,犯罪直後なら公益性のある適法な記事であることが多いでしょう。しかし,それが①何年経ってもネットに残っている場合と,②最近ネットでコピーされた場合は,削除できるケースがあります。2 最高裁
最高裁は,ネット記事の削除事例ではありませんが,報道の利益より更生の利益が優位するかどうか,という基準を出しています。これと同様に考えると,もう何年も経っていて,報道の利益より更生の利益のほうが優位する場合は,削除すべき違法性があることになります。
3 基準
削除できるかどうかの基準は,第1には時間経過です。「犯罪報道は社会の正当な関心事」という視点で考えると,社会の関心が薄れる“公訴時効期間”が1つの目安になると考えられます。これは犯罪によって異なりますが,5年,7年といった期間経過が基準になります。第2は,更生の利益の基準です。執行猶予期間の満了,刑期の満了などは,削除に有利な事情となります。
裁判官によっては,民事の不法行為の時効期間(3年)を基準に考えてくれる人もいます。
4 削除の必要性
削除の方法には,削除依頼メール,送信防止措置依頼書,裁判所の削除仮処分,削除訴訟,といった手法がありますが,削除仮処分の方法による場合は,削除の必要性がなければいけません。いくら時間が経過していても,削除の緊急の必要がないと,削除を認めない裁判官がいます。
2012/10/21 だいぶ基準が固まってきたので,内容改訂
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