民間削除業者・風評被害対策業者
忘れられる権利ビジネス,とも言われる、民間削除代行業者,風評被害対策業者だが,法律上,その適法性を問題とする争点がある。それが「非弁」(弁護士法72条)の問題だ。
弁護士法上,法律事務は公益目的のため弁護士独占とされ,民間業者が報酬目的で法律事務を業とすることは禁止されている。
このルールに違反して削除契約を締結した場合,民事上は,公序良俗違反により無効,すなわち,削除業者に支払った報酬は全額返還請求が可能となる。
他方,刑事上は担当者,代表者,法人に刑事罰が科される。
勘違いされやすいが,「代行」であれはOKなのではなく,「代理」も「代行」も同じである。
依頼する側のコンプライアンス
依頼する側としては,コンプライアンスの問題が生じる。すなわち,公序良俗違反で無効となるような契約を締結しているとなれば,会社法上,問題なるし,株主も黙ってはいない。依頼される側の対応策
そのため多くの削除業者,風評被害対策業者のウェブ広告,HPには,「削除」という言葉は使用されていない。これがNGワードだとわかっているからだ。 少数ながら,削除料金を明示している業者もあるが,まっさきに調査,捜査の対象とされることだろう。裁判所の判断を求めることにした
このような問題があるにもかかわらず,弁護士会では,削除業者の非弁該当性について議論されることは,あまりなかった。そこで,唐澤貴洋弁護士と共同原告となり,とある削除業者を非弁を理由として訴えることとした。
裁判所がどのような判断を示すか,興味深い。
削除業者との提携
マスコミの取材に,「削除業者との提携」というものがあった。形式的に弁護士が削除業務を受任するものの,弁護士は削除業者へ業務委託契約等により,業務内容を外注してしまう形態だ。これも,弁護士法上は違法である。興味深かったのは,まったく事務所の場所の異なる2名の弁護士なのに,電話番号が1番違いだった,という事例があった。
おそらく,テレアポセンターが同じ,ということなのだろう。
今後問題
削除業者,風評被害対策業者に削除依頼して報酬を支払った人は,返還請求訴訟をすることができる。前述のとおり,削除契約は公序良俗違反により無効だからだ。昨今,SEO詐欺,という言葉も聞かれるが,こちらは残念ながら,非弁とは関係がない。
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